19回目を迎えた、釣研ファングループ主催のWFG(ワールド・フィッシング・ガイアオブグレ)が、6月2日、3日の両日にわたり、長崎県平戸宮の浦・五島列島を舞台に開催された。
この大会は宮の浦で初日4人対戦の予選リーグを3試合行い、勝ち点の多い各ブロックの1位、12名が翌日の五島列島での決勝トーナメントに進出するルール。 全国各地、遠くは韓国・台湾から48名の選手が各地区の厳しい予選を勝ち抜き、早朝の開会式に顔を揃えた。その中には前人未踏の3連覇を目指す森井陽選手、はたまた前人未踏のV3を目指す猪熊博之選手を始め、横井公一選手・金澤新一選手など、全国トップレベルのメンバーも顔を揃え、朝6時の試合開始とともに、熱戦の火蓋が切って落とされた。
初日は前日からの雨で、雨模様での試合展開が予想されたが、受付開始からぴたっと止み、曇天ではあったが穏やかな海況であった。予選リーグでは昨年のシード選手3名全員が3戦全勝で翌日の決勝トーナメント進出を果たし、シード選手のレベルの高さを痛感させられた。
翌3日6時、決勝トーナメントに進出した精鋭12名の選手による準々決勝が五島列島・野崎島にて展開された。
準々決勝では、前人未踏の3連覇を目指す徳島支部の森井陽選手が地元五島支部の吉本嘉済選手と対戦。森井選手が尾数では吉本選手を1尾上回ったものの、重量では670g差で吉本選手が準決勝に駒を進め、森井選手の3連覇にストップを掛けた。吉本選手は15回大会の準々決勝でも3連覇を目指す池永祐二選手と対戦。その時も池永選手を破った3連覇キラーである。今回も森井選手の3連覇を阻止し、メイクドラマの立役者となった。
準決勝では、両名とも生年月日が同じという猪熊博之選手対昨年3位の濵上幸喜選手の対決。昨年の準決勝でもこの両名は対戦し、ともに7150gと寸分たがわぬ同重量の釣果。規定により最大魚の長寸で上回った濵上選手が決勝戦進出を果たし、猪熊選手は涙をのんだという因縁の対決が今年も準決勝で再燃した。今年の対戦結果は、猪熊選手が20尾8780g、濵上選手が13尾5850gと、猪熊選手が昨年の無念を晴らす形で決勝戦に進出した。
毎年、決勝戦は一ツ瀬で行われていたが、その日は風速10mの強風が吹き荒れていたため決勝会場変更を余儀なくされた。風裏を求めて野崎島の西波止の横が決勝会場に決定した。
12時、決勝会場の西波止の横に立ったのは、広島支部の岩本隆清選手、東九州支部の猪熊博之選手、五島支部の吉本嘉済選手の3名。この日の野崎島一帯は、強風が吹き荒れるタフコンディションの中、準々決勝、準決勝合わせて30尾以上、猪熊選手に至っては50尾以上のグレを釣り上げて勝ち上がってきた強豪揃いである。
決勝戦のホイッスルがなり、最初にグレを釣り上げたのは猪熊選手。しかし、キープサイズに至らずリリース。次にキープサイズを釣り上げた吉本選手。猪熊選手がキープサイズを釣り上げる中、岩本選手も負けじと良型のグレを釣り上げる。一進一退の攻防が続く。
風裏を求めて決定した決勝戦会場であったが、釣り座交代の2ランド目から風が強くなり、3ラウンド目には横殴りの風となった。しかし、そんなコンディションの中、3選手とも約30m先の沖目のポイントを狙い的確に仕掛けを遠投。マキエを見事に仕掛けに合わせていく。
1、2ラウンドでは、岩本選手が引き数では猪熊選手に少し劣るものの、型の良さでは上回っているように見えた。勝負を分けたのは釣り座交代の3ラウンド目であった。
遅れを取っていた吉本選手がコンスタントにキープサイズを上げていく。それに反して岩本選手の竿曲がりが減っていく。猪熊選手は3ラウンドともにコンスタントに玉網に納めている。終了のホイッスルが鳴り響く中、猪熊選手がダメ押しの1尾を掛けて釣り上げた。
3名ともに尾数では互角に見えたが、結果、猪熊選手が尾数、重量ともに2人の選手を引き離し、前人未到のV3優勝を果たすことができた。3ラウンド目で追い上げた吉本選手であったが、重量で岩本選手に170g足らずに3位。岩本選手が準優勝という結果に終わった。
昨年までの2年間、豊後水道を渡った優勝旗であったが、3年ぶりに3度目の優勝の座を射止めた猪熊選手によって、また大分に留まることとなった。
>リーグ戦成績表
>決勝トーナメント成績表
>上位入賞者仕掛け図