対象魚を知ろう(チヌ・クロダイ編)

一番手軽で奥深い好敵手

チヌはウキ釣り、落とし込み釣り、イカダ釣り、投げ釣り、最近ではルアーなどでも狙います。しかし、最も人気が高く、いつでも手軽に、一年を通して楽しめる釣り方と言えば、やはりウキ釣りに勝るものはありません。身近な釣り場である防波堤や岸壁から、地磯、沖磯まで幅広く生息し、最大で70センチ以上にも成長します。40センチを超える良型は、重戦車とも形容される力強い引きで、釣り人を楽しませてくれます。

チヌの種類

一般的なチヌ(クロダイ)、キビレ(キチヌ)、そして沖縄などに生息するミナミクロダイの3種が存在します。メインターゲットとなるチヌとキビレは生活パターンが大きく異なっています。

チヌは春から初夏にかけて浅場で産卵(乗っ込みと呼ばれる)し、夏から秋にかけては浅場を中心に活発に行動します。そして、冬になると深場に移動(落ちと呼ばれる)し、冬を越すといったパターンです。

一方のキビレは秋に産卵を迎え、基本的には汽水域を中心とした浅場を生活の拠点にして活動しています。この生活パターンの違いで、大きく狙い方も変わってきます。

チヌの生態と食性


チヌは悪食として知られています。シーズン、地域によって食性も多少変わりますがオキアミ、エビ、ゴカイ類、貝類、カニ類、ムギ、海藻類、さらにはサナギ、スイカ、コーン、みかんなどと多種多様です。
生活習慣としては冬の間を水温変化の少ない深場で過ごし、水温の上昇とともに春先から梅雨時期にかけて、浅場へと移動してきます。この時期は乗っ込み期と呼ばれ、産卵のために荒喰いすることで知られています。大型が釣れる確率が高く、比較的軟らかいツケエによく反応します。

体力を回復したチヌは夏を浅場で過ごし、甲殻類を中心に捕食します。エサ盗りの多い時期ですから、カニ類や貝類のツケエに実績が高くなります。深場に移動して冬場を越す体力をつけるため、晩秋にはサナギなど脂分が多いツケエでの実績が高くなります。

チヌの成長速度は地域によって多少異なります。目安として3年で25センチ程度、夢の50センチオーバーには13年以上かかると言われています。それ以上のサイズになると個体差が激しく、体長で年齢の把握が難しくなるので年無しチヌなどと呼ばれるようになります。

性格としては警戒心が強く、音に敏感で釣り人の足音だけで逃げていくほど繊細な魚だと言われています。反面、好奇心が旺盛なところも見られ、意外性の魚とも呼ばれます。

チヌ釣りでは濁りが重要視されます。警戒心が薄れ、競ってエサを捕食する傾向が見られるため、ウキ釣りのマキエにも濁り成分が配合されています。

また、夏場の夜釣りは大型のチヌと出会える最短の近道だと言えます。暗闇に紛れて警戒心が薄れたチヌは、水深の浅い場所で積極的にゴカイ類を捕食します。夜釣りでは手軽に狙えるチヌですが、極端な物音や光は厳禁なので十分注意をしましょう。

A

夏が終わり、水温が下がってくるとチヌは深場へと移動を始めます。当然、狙うポイントは深場。タナも深ダナへと変わります。沖磯、沖波止がメインとなる季節ですが、地寄りの防波堤でも水深があれば充分に狙えます。

B

冬が過ぎ、春の産卵をひかえたチヌが水温の上昇とともに浅場にやってきます。いわゆる乗っ込みの季節の到来です。この時期は産卵の体力作りのため食欲旺盛で、貪欲にツケエサに食らいついてきます。チヌ釣り初心者にとって最適な季節だと言えます。ただし、引きは弱く、多少の物足りなさを感じる時期です。

C

春に産卵を終えたチヌは体力を使い果たし、しばらくの間は休憩に入ります。しかし、梅雨入りして水温も上がってくると、積極的な就餌行動を行うようになってきます。この時期は春よりも、さらに浅場で釣れることが多くなってきます。

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